定期的にチェックすることが大切
食事や会話をしたり、呼吸をしたりする口は健康的な生活を支える大切な器官です。替えが利かないため、健康的な生活を維持するには毎日のオーラルケアが重要です。オーラルケアが不十分だと様々な問題が起こります。
注意するのは虫歯だけではない
口内の疾患として多くの人が知っているのは虫歯や歯周病ではないでしょうか。しかし、なかなか治らない口内炎も注意が必要です。口内炎は疲労やストレスによって免疫力が低下したときにできやすいため、「休息を取って安静にしていれば治る」「たかが口内炎」と考えている人も少なくありません。ところが、たいしたことがないと思っていた口内炎が実は口腔がんのサインだった、という場合もあります。口内は食事や会話など生きていく上で重要な機能を担っている場所です。がんが進行すると生活の質を大きく下げてしまうため、「たかが口内炎」と侮ってはいけません。
口内炎の種類は様々
口内炎は医学的には「口の中にできる炎症全般」を指していますが、種類はひとつだけではありません。よくある白いできものがポツンとできる口内炎は1~2週間程度で自然に治る良性のものです。それ以外に、感染症や膠原病などの他の病気を原因とする口内炎もありますが、これらは原因である疾患を治療すれば症状は改善します。また、乳幼児に多い手足口病をはじめ口唇ヘルペスや帯状疱疹などが原因で口内炎ができる場合もあります。
このように、口内炎ができる原因は色々ありますが、口腔がんになる可能性には十分に注意しなければなりません。口腔がんは50歳以上の男性に多いといわれていますが、それは喫煙や過度の飲酒、義歯や被せ物の劣化などのリスク要因がたくさんあるからです。口内の粘膜を刺激して傷ができ、それを修復するために細胞分裂が盛んになるため、遺伝子の異常が起こりやすくなります。また、タバコに含まれているタールなどの発がん性の高い物質が口内の傷から侵入し、がんを発症する可能性もあります。つまり、口内の環境が悪いほど口腔がんを発症しやすいといえます。
口腔がんを発症しやすい部位
口腔がんが最も発症しやすいといわれているのは「舌」です。舌がんとも呼ばれていますが、口腔がんのおよそ60%を占めています。舌以外にも、頬の内側や下顎の内側に発症する頬粘膜がんが10%、下の歯ぐきに発症する下顎歯肉がんが10%、上の歯ぐきに発症する上顎歯肉がんが6%ほどです。
このようながんを発症する前には、ある程度の確率で前がん病変や前がん状態と呼ばれる症状が現れます。代表的なものとして、細く白い線状の病変が頬の内側に網目状にできる「扁平苔癬」や赤い斑点状の病変ができ刺すような痛みがある「紅板症」、こすっても取れない白い板状の病変ができるが痛みはなく、しこりが見られる「白板症」などがあります。特に、紅板症や白板症はがん化する可能性が高いため注意しておきたいところです。